大富豪というトランプゲームを知っているでしょうか。
私は、世界が変わるということは、大富豪の「革命」みたいなものだと思っていました。

あの日が来てから、世界は変わってしまったように見えました。
あの日が来ても、世界は何も変われなかったようにも見えました。

何かに気づいて、世界が前進した気もするし、
絶望的な現実を前に、世界は後退してゆくのだとも感じました。

そして、何よりも、私はこの世界を構成しているひとつの要素なのだということを、
あの日があったからこそ、はっきりと自覚できるようになりました。
大富豪でカードが揃うようには、世界は突然、大きくは変わらないということ。
その中にいる私というちっぽけな存在も、その変われない要素であること。
誰かがいいようには変えてはくれないということ。
そう考えている限り、何も変わりはしないということ。

でも、同じ気づきを感じているのは、私だけではないということもわかっています。
誰かが一つづつ行動に移し、今どこかで小さなスイッチがひとつひとつ押されて、
これから大きな変化につながっていくと信じています。

信じることを、やめたくない。

人は複雑で、矛盾した存在であるけれど、
大切なことに気付いたのなら、その心に従いたいし、従うべきだ。
もうそれを躊躇したくない。

今まで、目の前のことに囚われてできなかったことがたくさんある。
自分だけしか見えていなかったことが、たくさんある。
でも、それを後悔した自分がいることを忘れない。
本当はできたかもしれない善意、救えたかもしれない誰か。
無自覚に傷つけた誰か、嘘をつくことに目を逸らした自分から、逃げない。

そのひとつひとつをなくしていくこと。
善意に正直であることを、畏れないこと。
表現を生業としているからには、それを表現し、
自分の表現とこの集合知であるNOddINによって、
それが誰かの気づきとなりますように。
佐藤亜美
AMI SATO
FILMMAKER
1984年4月27日生。
宮城県仙台市生まれ、千葉県船橋市育ち。
青山学院大学卒。
P.I.C.S.を経て2013年よりフリー。
MV、CMを中心に活動している。
地球と映像の未来を考え続け、NOddIN参加に至る。
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